機能不全家族
「機能不全家族」とは、ストレスが日常的に存在している家族の状態を指す言葉です。
・家族に対して「ホッと安心できる居場所」というイメージができない
・家族のうちの誰か、もしくは全員の生活が不安感で圧迫されている
カウンセリングでは、リアルタイム(現状)で機能不全家族状態であることの相談を受ける場合と、
成人してからの対人関係に悩んでいる方の根本に、幼少期の機能不全家族を経験したことが影響している場合との
大きく分けて2つのパターンがみられます。
保護者から子どもへの虐待やネグレクト、子どもに対する過剰な期待、
あるいは逆に無関心な態度で接するなど、親が子どもに影響を与えている状況であったり
保護者自身が機能不全家族を経験した影響で、子どもへの接し方を間違えてしまうケースなど
機能不全家族の環境で育った子どもは、おもに精神的な面で健やかに成長できず、
大人になってから「アダルトチルドレン」「インナーチャイルド」の苦しみを抱えます。
アダルトチルドレン
アダルトチルドレンとは、幼少期に家庭内トラウマによって傷つき、
大人になってもその影響が続いている人を指します。
・親の期待に応える生き方に縛られ、自分自身の感情を抑え込むようになってしまった人
・誰かのために(自己犠牲的に)生きることが生きがいになってしまった人
・良い子を続けられない罪悪感や、居場所のない孤独感に苦しんでいる人々
こういった人々は精神疾患にも陥りやすく、社会に馴染めないことが多いのです。
機能不全家族で育った方は、上記のような苦しみの積み重ねによって
アダルトチルドレンになってしまう方も多くいらっしゃいます。
インナーチャイルド
アダルトチルドレンと対をなすような言葉に「インナーチャイルド」があります。
インナーチャイルドとは、私達の心の中の「素直な感情」や「本音の心」を指します。
いわゆる「理性と本能」のうち、後者に当てはまるのがインナーチャイルドです。
例えば、お腹が空くと何かを食べたくなる、寒すぎたり暑すぎたりすると不快に感じる、など
私たちは誰に教えて貰ったわけでもなく、このような感情や感覚を自然に感じることができます。
生まれたばかりの赤ちゃんの時から備わっている心の領域です。
インナーチャイルドは、「その人そのもの」とも言えます。
機能不全家族の中のインナーチャイルド
家庭の中に暴言や暴力があったり、愛されている実感がなかったりすると、
子どもはインナーチャイルドを押さえつけながら過ごすようになります。
自分らしさを表現するよりも、
怒られないように・危険が及ばないように・少しでも親の意に添うように…など、
絶えず気を遣い、怯えながら生活してしまうのです。
機能不全家庭の中で生き延びていけるようにインナーチャイルドを変化させ、
自分の心をなんとか守りながら育っていく場合もあります。
親の言う通りに生きる方法を選ぶか、
あるいは親にはげしく反抗する、殻を閉じるという方法を選ぶこともあります。
いずれにおいても、機能不全家族の中で育った人は、
インナーチャイルドの自然な要求がはねのけられてしまった結果、
心が傷ついてしまったという点では共通しています。
幼少期に歪んでしまった、傷ついてしまったインナーチャイルドが癒されないままでいると、
悲しさや寂しさ、そこからくる怒りなどを感じやすくなってしまうのです。
インナーチャイルドとアダルトチルドレンの関係
アダルトチルドレンの人たちの生きづらさの原因は、
インナーチャイルドの傷が癒されていないことにあります。
インナーチャイルドは本来の「その人そのもの」であり、
それが傷つき歪んでしまったことにより、社会で生きていくことが辛いと感じるのです。
「本当の自分らしさ」が抑え込まれてしまっているために、
仕事や趣味などで本領を発揮できない方も多くいらっしゃいます。
根本の苦しみから抜け出すには
この記事を読んでいる方の中には、機能不全家族の中で育った経験があり、
いま現在、アダルトチルドレンとして生きづらさを感じている方もいらっしゃるはずです。
また、そもそも自分の育ってきた環境に対して「おかしい」と思ったことがなく、
なぜ生きづらさを感じているのかすら理解できていない方もいらっしゃると思います。
そのような状態を抜け出すためには、
自分の現状と過去の生活を客観的に見つめ、向き合うこと。
癒やされなかったインナーチャイルド(本来のあなた自身)を見つけ出し、
言葉をかけてあげることが必要です。
思い悩む時は、いつでも私たちにカウンセラーに相談してください。
ひとりで自分自身と向き合うことは、簡単なことではありません。
家族のこと、ご自身のこと、社会の中で漠然と感じている息苦しさや悩みなど、
言葉にして吐き出せるようになれば、未来はどう変えていけるでしょうか?
本当のあなたらしく生きていくための一歩をお手伝いさせていただきます。