親と子のかかわりという関門―「愛着障害」基本の“き”

対人関係や社会性に問題を引き起こしてしまう
愛着障害」についてご存知でしょうか?

愛着障害とは、幼少期の間に両親や養育者に対して「愛着の形成」ができず、
社交性や人格に問題が生じている状態のことです。

ネグレクト(育児放棄)や、厳しすぎるしつけ、保護者との離別などにより、
自分を守ってくれる人への「信頼感」や「安心感」がないまま育つことが
愛着障害の原因とされています。

【月木コラム】愛着障害の基本の「き」

愛着障害には
反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)」と
脱抑制型愛着障害」の2種類があります。

反応性愛着障害は、子どものころに良好な愛着形成ができなかった子どもが陥る心の障害です。

反応性愛着障害の子は他人への関心が薄く、
感情を表に出すのが苦手となる特徴があります。

そのため、社交性やコミュニケ―ションに問題を引き起こし、
学校での人間関係に悩むこともあります。

脱抑制型愛着障害の方は、他人への過剰な依存が問題となる障害です。

他人へ過度な親密さを求めてしまい、
人間関係を破綻させてしまう場合があります。

また、衝動的な言動をとったり、協調性に欠け、
他人に嘘をつくなどの性格に育ってしまうこともあるようです。

これらの愛着障害は幼少期だけの問題ではなく、
大人になってからも悩み続けている方が多いんです。

愛着障害を抱えたまま大人になってしまうと、
人との距離感がうまく保てなかったり、自尊心が低くなったりなど
生きづらさ」を感じながら生活することになります。

また、愛着障害は「うつ」や「境界性パーソナリティ障害」を
引き起こすきっかけにもなる場合もあります。

このように、愛着障害はさまざまな問題につながるため、
できることなら改善するのが望ましい障害といえるのです。

愛着障害を改善するためには、
心のより所」となる存在が必要です。

そのような存在を、カウンセリングでは「安全基地」とも呼びます。

安全基地は、自分の生きづらさや苦しみを理解し
共感してもらえる「安心できる場所」です。

子どものころに感じられなかった「信頼感」や「安心感」を得られることで、
良好な人間関係や社交性が少しずつ身についていくでしょう。

安全基地になる存在は、信頼できる友人や恋人、家族などが挙げられます。

ただし、うまく頼ることができず依存してしまうと、
安全基地である人との人間関係も崩れてしまいかねません。

適切な距離感や正しいアドバイスを受けるための場所として、
カウンセラーが安全基地となることも有効であると考えています。

生きづらさを感じている方が、ひとりで悩まずにいられるよう、
サポートさせていただければ嬉しいです。

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