ADHDやASD(自閉症)のパートナーや家族と付き合っていくなかで
心や体に不調を起こしてしまい、カウンセリングに来られる方が居ます。
このような状態は“カサンドラ症候群”と呼ばれ、
ここ数年、相談に来られる方も多くなりました。
カサンドラ症候群は不眠や動悸、めまいなどの身体的症状と、
情緒不安定や無気力といった“うつ”の状態になる精神的症状が見られる状態を言います。
不安や気分が上がらない状態に加え、眠れないことでさらに精神を擦り減らしてしまう悪循環に陥る方もいらっしゃいます。
カサンドラ症候群は、パートナーとの生活が上手くいかないことへのストレスから引き起こされます。
- 感情的な孤立感: パートナーとの感情的なつながりが欠けていると感じる。
- 誤解されているという感覚: パートナーに自分の感情やニーズが理解されていないと感じる。
- コミュニケーションの困難: パートナーとのコミュニケーションで誤解が生じやすい。
- 社会的なサポートの欠如: 友人や家族からの支援が不十分であると感じる。
- 感情的な反応の不一致: パートナーの感情的な反応が予測できない、または適切でないと感じる。
- 愛情の表現に関する問題: パートナーからの愛情表現が不十分または不適切であると感じる。
- 自己疑念: 自分自身の感情や判断に対する不確かさ。
- ストレスや不安: 関係による高いストレスレベルや不安を感じる。
- 孤独感: パートナーシップにもかかわらず、孤独を感じる。
- 疲労感: 精神的、感情的な疲労を経験する。
※上記のチェックリストは、カサンドラ症候群を自己診断するためのものではありません。
専門家の意見を求めることが重要です。
※また、関係の問題は多面的であり、
一方のパートナーにだけ原因があるとは限りません。
ADHDやASDの気質を持ったパートナーは、
コミュニケーションがうまく取れなかったり、
注意欠如によって約束を忘れてしまったりする方が多いです。
発達障害であるADHDやASDは“生まれつきの気質”であり、
注意したり指摘しても直すことができない場合がほとんど。
そのため何度も同じストレスを感じることになってしまい、
いつしかカサンドラ症候群に陥ってしまうのです。
また、モラハラやDVのように“誰が見ても明らかな被害”があるわけではないため、
周囲からも理解されず、一人で苦しんでしまう…という方が多くいらっしゃいます。
「こんなに辛いのにわかってもらえない」
「誰にも頼れない」
こうして強い孤独感を感じることにより、
精神的に不安定となってしまうんですね。
カサンドラ症候群にならないためには、
パートナーの気質を客観的に理解していく必要があります。
ADHDやASDのことを詳しく知ることで、
コミュニケーションを上手くとれるようにすることが重要です。
そして、もう一つは一人で抱え込まずに
理解者へ相談する、頼ることも大切です。
親や友人など、あなたの味方になって真剣に話を聞いてくれる人を頼ってみましょう。
ただ、夫婦の悩みは親しい人からほど理解されないこともあり、
世間体や周囲の目が気になる、家族やパートナーの立場がなくなってしまうかもしれない…と考える、
優しくて真面目な方も多いですよね(そういう方ほど、カサンドラに陥りやすいですよ)。
周りからわかってもらえず、苦しい思いをする前に、
カウンセリングを活用して、セルフケアに役立ててくださいね。